上に向かってひとこと

朝から雨だった

 

「あいつが実物見本を紹介しにお客さんのところをまわる日は雨なんだよね」

事務員さんと先輩が話しているのが耳に聞こえてきた

 

その日は商品の実物をもって紹介に行く日だった

 

先輩は前日

快晴

 

商品は4t車の荷台に積んである

雨が降っている現場で商品を紹介する

 

お客様は

“早く終わらないかなぁ”みたいな

表情をしてくるだろう

自分もそうなるかもしれない

商品が興味をそそるものだったらそうではないが

よくない予想をたててしまう自分がいる

 

「行ってきます」

 

雨は降っていたが、現場では止む可能性もないではない

そう言い聞かせ出発

 

最初の訪問先に行く途中

雨は降り続いている

 

今日は中止になるかなぁ?

あと10分ぐらいで到着する

 

雨は止んだ

 

現場に先に到着していたメーカーさん

「いやぁー良かった。雨が止んで」

しっかりお客様へ説明ができた

 

上を見ると曇り

でも雨はふってない

 

無事に全部訪問が出来、終了

 

予定していたところすべて終了したが、時間に少し余裕があったので

もう一か所まわろうかなぁ、そんな気分で次の箇所にアポをとる電話をした

先方は今からの時間は会議や外出で対応は難しいと

 

空いた時間だから訪問する

そんな勝手

うまくいくはずはない

 

すると

雨が降ってきた

大粒の雨

かみなり

 

お客さんに失礼だぞ!上の誰かが怒ったかな

 

すいません

 

思わず上へ

 

結局メーカーさんともそこでお別れした

車に乗り込んだ

 

今日の天気予報では

雨100%だった

にも関わらず予定通りこなせた

 

上に向かってひと言

よく我慢してくれました